CITES(ワシントン条約)代表者は、スローロリスに対して行われるすべての商業取引を禁止することに合意した。東南アジアに生息する霊長類スローロリスは、ペットとして人気が高く違法に取引されているため、この合意に環境保護NGOは喜びの声をあげている。
インドネシアで野生動植物の違法取引廃止を訴えるNGO、プロファウナ・インドネシアは、「私たちの活動が報われてとてもうれしい」 と話す。
オランダのハーグにてワシントン条約締約国会議が行われ、スローロリス保全のため、カンボジアが提出した「スローロリスのCITES(ワシントン条約)付属書IIから付属書Iへの移項」に関する提案書は、各国の厚い支持を受けた。
付属書Iで は、スローロリスに対するすべての商業取引だけでなく、南アジアと東南アジアに生息する他の夜行性曲鼻猿亜目に対する商業取引も禁止される。
飼育下のスローロリス 写真提供:プロファウナ・インドネシア |
プロファウナ・インドネシアの行った大規模な市場調査では、スローロリスがペット市場や大都市のショッピングモールなどで、$20ほどで売買されていることが明らかになった。
スローロリスは市場に出される前にペンチで歯を抜かれ、また飼育下では、伝染病にかかったり間違った飼育法や飼い主による心ない行為によって高い確率で命を落としてしまう。
CITES(ワシントン条約)の新しい規定では、スローロリス属全種(スローロリス、ベンガルスローロリス、ピグミースローロリス)が付属書Iに該当することとなった。
インドネシアではスローロリスに関する取引が禁じられていたのにもかかわらず、長い間その規制が不十分であった。プロファウナの独自調査によると、2000年から2007年までにおよそ7000頭ものスローロリスが捕獲され、違法に取引されていたとされる。
翻訳 魚住綾子 校正 若森尚子
日本のスローロリスの違法取引についてより詳しい情報を知ることのできるリンク