イギリス王立植物園(キューガーデン)の報告によると、モザンビークで、科学者たちは貴重な新種発見にグーグルアースを使用しているという。
2005年、モザンビークの保護活動家ジュリアン・ベイリス氏が、グーグルアースの衛星画像を使い標高1600m以上の保護可能地域を調査した際、7000ヘクタールに及ぶマブ山の森林地帯を発見した。これまで現地の村人しか知らなかった未調査のこの森林では、2005年に続く今回2008年の調査遠征の結果、すでに発見されている種も合わせ何百種もの動植物が見付かった。
マブ山でのベースキャンプPhoto by Julian Bayliss
|
「確認できた種の多様性にはただただ驚いた。生息が困難とも思われるような場所で生き物が順応している姿は、私にはとても信じがたいものだった。」と、王立植物園の植物学者で、モザンビーク探索のリーダーであるジョナサン・ティンバーレイク氏は話す。「今現在でさえ、私達は世界の生物多様地域をすべて網羅しているとは言えない。まだまだ発見されていない地域はある。」
今回の調査では、コノハカメレオン、ハイガシラヤブコマ、蝶類(3つの新種を含む)、ブルーダイカー、サマンゴモンキー、ハナジネズミ、新種のヘビ(ガブーンバイパー科)などの野生動物や、希少な蘭など多くの植物が発見され、全ての調査隊は、500種以上の植物を採取することに成功した。
20年もの紛争の間村人達の避難場所とされてきたマブ山は、今やその村人達による森林伐採や農地転換によって、危機的状況にある。科学者達は、この貴重な新種の発見を機に、モザンビーク政府に対しマブ山の独特な生態系を保護させる圧力をかけようとしている。
Mount Mabu’s Google Earth coordinates are 16 degrees 17 min, 56 secs south and 36 degrees 23 mins 44 secs east
「マブ山は、私の知る南アフリカ中高度の山では保護可能性のある最大のエリアだが、ほとんど知られていない。地図上にもないし、現地のほとんどの人がマブ山の名前すら知らない。イギリス王立植物園はモザンビーク政府と共同でマブ山のような地域を保護し、野生生物にとって森がいかに重要かを地元の人々に伝えていくつもりだ。植物を保護することにより、私たちは、そこで生きる生物の未来を保障する手助けができる。」とティンバーレイク氏。
この調査遠征には、モザンビークの農地経営学研究所、Birdlife International、マラウィのMulanji Mountain Conservation Trustからの科学者達も参加した。
ジョナサン・ティンバーレイク マブ山Photo by Tom Timberlake
ヒョウモンチョウの交尾Photo by Julian Bayliss
マブ山へ続く道Photo by Julian Bayliss
半翅目の昆虫Photo by Julian Bayliss
マブ山からの眺めPhoto by Tom Timberlake
オナガミカドアゲハ(Graphium policenes). Photo by Julian Bayliss
オリーブタイヨウチョウ(Nectarinia olivace). Photo by Julian Bayliss
マブ山頂から景色を見渡すジョナサン・ティンバーレイクPhoto by Tom Timberlake
新種の蘭 Photo by Tom Timberlake
新種のヘビ Photo by Julian Bayliss
翻訳 魚住 綾子 校正 若森 尚子