アメリカ国内のボーイスカウトに関する調査で、ボーイスカウトの1/3が、困難な組織の資金繰りのために森林伐採に関わったことを明らかにした。(ハースト誌調べ)
ハースト誌の調査によれば、26の組織が、野生生物の保護地域や、その周辺の森林の伐採に関わったことが判明した。ボーイスカウトによって、少なくとも60のエリアで皆伐が行われ、35のエリアでは救済と称した伐採が行われた。多数の組織が生態系や自然資源の保護を無視した伐採プランのもと伐採を行った。さらにこの調査では、ボーイスカウトがキャンプやアウトドア活動をするために寄付された土地が売却されていたこと、また伐採を行った組織も明らかになった。
Redwood tree in California’s Big Sur |
専門家にアドバイスを求め、環境的に問題がないことが確認された場所でのみ伐採をしていたボーイスカウトもあったが、不正に伐採を行っていた組織もあった。アービングの全国ボーイスカウト協会の確認可能な記録によると、テキサスがもっとも伐採に関わっており、10,000エーカーを超える森林伐採が行われていた。ポートランド郊外のカスケード、オレゴンが、それに続いて5000エーカー近い森林伐採を行っていた。続いて、スポケーン、フォスター・シティー、シアトル、そしてタコマといった太平洋北西岸のボーイスカウトが700から1,100エーカーを伐採しており、リストの大半を占めていた。しかしながら注意すべきは、この調査では、ボーイスカウト協会のデータが不完全であるため、おそらく数値が少なく見積られていることだ。
伐採から得た収入は、ここ10年ほど資金繰りに苦心していたボーイスカウト協会の運営資金に大いに使われた。ボーイスカウト協会は、同性愛者や無神論者、不可知論者の入団拒否を決定し物議を醸して以来、重要な財政的援助を失った。ボーイスカウト協会は伐採や土地の売却について、運営資金の収集のために必要不可欠であったと弁明したが、ハースト誌の調査では、地方の幹部職員の年俸が10万から30万ドルであったことが分かった。
ボーイスカウトは1910年に創設されてからこれまで、土地や自然資源を守る任務において100年近く名声を築いてきた。ボーイスカウト協会は、Leave No Trace(自然界に人々の足跡を残さない)という倫理的価値観のもと、「自然界のものはそのままに」や「自然に敬意を」という原生地域保護の原則に従っていくと言う。
For the investigation on the Boy Scouts of America by Hearst newspapers: Profit trumps preservation for Boy Scout councils nationwide
ハースト誌によるボーイスカウトの記事(原文)
翻訳 魚住 綾子 校正 若森 尚子