マレーシア・インサイダー紙によると、10月19日(2009年)、プランテーション産業および商品相のタン・スリ・バーナード・ドンポク氏は、議会に対し、「オイルパーム収穫労働者およびゴム採集労働者は、マレーシア国民の貧困線を上回る生活水準にある」と述べた。しかし現在、それら労働者の代表者たちは、ドンポクの発言は嘘だとしている。
「それは見え透いた嘘で、長い間言われ続けてきた。事実を見れば誤解や混乱を招くものだ。」同紙によると、プランテーション労働者支援グループ(Plantation Workers Support Group)のコーディネーターである、M. スグマラン氏は、記者会見の席上そう語った。
「大臣の声明は不誠実だ。そのような声明のために、貧困線以下の稼ぎしかない人たちに対して政府が支給する手当を、プランテーションで働く人々が受けられなくなる。」
パーム油のプランテーションと雨林(ボルネオ島マレーシア領)(写真: レット A. バトラー) |
ドンポク氏は声明の中で、オイルパーム収穫労働者およびゴム採集労働者は一月にそれぞれ、約1700リンギット(500米ドル)、870リンギット(257米ドル)の稼ぎがあるとした。マレーシア農村部の貧困線はひと月720リンギット(213米ドル)である。
しかし、「プランテーション労働者支援グループ」の調査によれば、オイルパーム労働者の平均賃金は700リンギット(207米ドル)で、マレーシアの貧困線を下回る。
パームオイル産業では、マレーシアの貧困緩和を支援してきたとする声明を度々発表している。しかし、低賃金と厳しい労働条件のために、同産業では十分な労働者を確保するのが困難だった。そのためマレーシアのオイルパーム産業における労働者の多くは、インドネシアやフィリピンからの移民で、不法労働者もいる。地元の環境保護論者たちは、こうした労働者は賃金が低すぎるために肉を求めて森林に向かい、罠を仕掛けて、マレーグマ、ゾウ、サイといった絶滅寸前の種などを無差別に捕まえていると主張する。
英国は最近、マレーシア・パーム油協議会(MPOC)の広告を禁止した。誤解を招き、根拠のない意見広告だというのがその理由である。問題の意見広告では、パーム油産業が「持続可能」であり、とりわけ農村部の人々の間で「貧困の緩和」に貢献している、としている。
オイルパームはマレーシア最大のビジネスの一つである。2008年には急速に成長を遂げるこの産業において、輸出額で648億リンギット(米ドル換算で 200億ドル近く)を稼ぎ出した。同産業界では、オイルパームはマレーシアの経済発展にとって、不可欠なものとなっているとしている。 この意見に批判的な人々は、その利益の大部分が、結局は少数の人々の手中に収まり、国の熱帯雨林や天然資源を犠牲にしていると主張している。