人々が貧困と飢餓に苦しむ地域で、絶滅の淵に追いやられている動物をあなたならどうやって救うのか?
人が大事か、希少種が大事か。
野生動物の保全活動に従事する人を長年悩ませている問題だ。ゴリラを食用として捕食する密猟者達から、希少種のクロスリバーゴリラを救うための新しい案が、The Wildlife Conservation Society (世界中の野生生物や野生生物の生息地の保全活動を行っているアメリカのNGO。以下WCS) にはある。
食用のカタツムリを養殖させ、ゴリラを売るよりも高額の収入を現地の人々にもたらす策だ。
WCSが4つの村から選んだ8人の元ゴリラ密猟者達がカタツムリ養殖の職に就いた。しかし、なぜカタツムリなのか?
![]() WCSはアフリカンジャイアントスネイルが元密猟者達に代替収入もたらすと願っている。写真提供:WCS |
ナイジェリアでは、カタツムリは珍味であり、カタツムリで一家を養えることができるのだそうだ。WCSの話では、カタツムリの養殖をするには約87米ドル(日本円約8,000円:2010年4月付け為替レート)かかる。毎年3,000匹のカタツムリを売って得られる収入が約413米ドル。(約38,000円)326米ドル(約30,000円)の収入が残る。その一方でゴリラを密猟することによって得られる収入は70米ドル(約6,500円)のみ。カタツムリの養殖の方が高収入である上に安定した収入を得ることができる。
「クロスリバーゴリラが生息するこの土地では、職が不足しているだけでなく、食糧も不足しているため、人々はゴリラの密猟をするのです。」WCSのアフリカプログラムのディレクターJames Deutschは言う。「私たちは彼らとともになんとかゴリラを殺さなくても済む別の方法を試してきました。そこでもっとも確実な策はカタツムリの養殖だったのです。」
カタツムリの養殖家となった元密猟者達は、WCSから230匹のアフリカンジャイアントスネイルを譲り受け、ビジネスを始めた。カタツムリは繁殖のサイクルが早く、そして高タンパク質である。
1980年代まで絶滅したと思われていたゴリラの亜種であるクロスリバーゴリラは、かろうじて生息している状態だ。研究者はクロスリバーゴリラの生息数は300頭を下回ると見積もっている。クロスリバーゴリラはナイジェリアとカメルーンの二国間の境界の山に住む。
![]() 野生のクロスリバーゴリラ 写真提供: WCS |
2年前の2008年、カメルーン政府は、クロスリバーゴリラ保全のため、Takamanda国立公園を設立。
「クロスリバーゴリラが生き残るためには、法による規制と、保全活動の努力にかかっています。」とWCSのAndrew Dunnは言う。「今回の活動はクロスリバーゴリラの生息数を回復させる長い道のりの第一歩にしかすぎません。」
カタツムリの養殖場の建設現場 写真提供: WCS.
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