ロイター通信は、ハワイのリンダ・リングル州知事が2011年7月1日以降フカヒレスープを禁止する法律を成立させたと報じた。フカヒレスープは現在、ハワイにある多くの中華レストランで出されているが、このビジネスで乱獲が進み、サメの特定種が激減しているのである。
レストランは当面、フカヒレの在庫を利用し続けることができる。しかし来年7月以降、法律の違反者には初犯の場合5,000ドル、最高で5万ドルの罰金が科されることになる。また3度目の違反者は1年以下の懲役に処されることとなる。
アジアの高級料理、フカヒレスープの原料となるサメは、年間2,600~7,300万頭が殺されている。捕獲されたサメは船上に引き上げられてヒレのみ切り取られ、まだ生きたまま海中に捨てられる。傷を負ったサメはそこで息絶えることになるのである。
このビジネスは、数多くの種類のサメが激減していることの最大の要因と考えられている。アカシュモクザメ(英名:scalloped hammerhead)の頭数はある地域では98%減少しており、メジロザメ科のヨゴレ(英名:oceanic whitetip shark)は中央太平洋で90%、メキシコ湾で99%の減少をみている。国際自然保護連合(IUCN)が発行する『レッドリスト』によれば、現在、外洋に生息するサメとエイの32%が絶滅の危機に瀕している。これは哺乳類や鳥類と比べ大幅に高い数値である。
今年初め、サメの8種が、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、CITES)で国際的保護の対象に加えられなかった。今回もまた日本政府の圧力が働き、サメやその他海洋生物の保護は多数の支持を得られなかったのである。
フカヒレスープのハワイ市場は、中国や日本の市場と比べれば極めて小さい。しかし今回成立した法律は、サメ保護の必要性を示すシンボル的な意味が強くあると見られている。なお、ハワイはこのような禁止措置をとる米国で最初の州となる。