アジア開発銀行(ADB)の報告書が気候変動、都市膨張、都市計画の不備などにより多くのアジア都市が自然災害に対してより脆弱になっていると警告し、災害リスクが地域の経済的発展を損なっていると発表した。
アジアではサイクロン、暴風雨、地震などの災害により多くの人命が失われ、被害総額は数兆ドルに達している。さらに気候変動が事態を悪化させており、特に標高の低い地域に洪水が起こりやすくなっている。
ADBは「1980年代からこの地域は自然災害の増加により、物理的、経済的な被害を被っており、アジアの自然災害の影響度はアフリカに比べて4倍、ヨーロッパと北アメリカと比較すれば25倍になる」と分析している。
2000年から2009年までの10年間、アジア全土で自然災害により約65万人が死亡したことがわかっている。現在も1億5200万人が都市の人口増加により居住に向かない地域に住むことになったことなどの影響から自然災害の被害を受けやすいとしている。
ADBでは自然災害への対策として災害が起こってからのインフラ修復に予算を組むのではなく、都市計画への支出の増加と防災インフラの整備を進めることを提言している。
出典: Asian Development Bank.Special Evaluation Study on ADB’s Response to Natural Disasters and Disaster Risks ((October 2012).