イモムシ型の両生類であるアシナシイモリの新種が仏領ギアナの熱帯雨林で発見された。
この種は Microcaecilia dermatophaga(「皮膚を食べる小型のアシナシイモリ」の意)と命名された。幼体が母親の皮膚を剥がして食べるという習性にちなむ。母親は幼体の発達のこの時期に脂肪分の多い特別な皮膚層を形成するため、皮膚を食べられても傷を負うことはない。成体のアシナシイモリはシロアリやミミズを食べ、生涯のほとんどを熱帯の土の中や落葉層の中で過ごす。
Microcaecilia dermatophaga. の成体。Wilkinson et al. (2013)より。
「今回発見された種も皮膚食を行うが、重要なのはこれまで発見されている皮膚食を行うアシナシイモリとこの種は遠縁だということで、つまり皮膚食はアシナシイモリ類の祖先的形質だと考えられる」と、論文の共同執筆者の一人であるハーバード大学のエマ・シェラット氏は自然環境研究評議会に対して語った。
今回の新種について、それ以外に分かっていることはわずかだ。昨年、水力発電用ダムの建設準備としてアマゾン川の支流のひとつで排水工事が行われていた際に発見された、「ペニス・スネーク」こと Atretochoana eiselti, もアシナシイモリの一種である。Atretochoana eiselti に関しても、水棲で少なくとも全長75cmに達するということ以外にはほとんど何もわかっていない。
別種のアシナシイモリであるAtretochoana eiseltiは昨年発見された。外見は男性の体の一部とそっくりだ。写真:Matt Roper
仏領ギアナでアシナシイモリの新種が発見されたのは、今回の Microcaecilia dermatophaga で150年ぶり。
新種を記載する論文はオンライン科学誌 PLoS ONE に発表された。.
Microcaecilia dermatophaga の写真
Microcaecilia dermatophaga のホロタイプ(頭部のみ)。Wilkinson et al. (2013)より。
母親と思われる個体が5つの卵が入った卵嚢を抱えているところ(左)と、2匹の幼体と一緒にいるところ。幼体は孵化後の子育ておよび母親の皮膚食に期間にある(右)。Wilkinson et al. (2013)より。
Microcaecilia dermatophaga、Wilkinson et al. (2013)より
仏領ギアナのアングレームを流れるマナ川。
仏領ギアナ・アングレームのマナ川周辺の、Microcaecilia dermatophaga が生息する森林。
引用元: Wilkinson, M. et al. (2013) A New Species of Skin-Feeding Caecilian and the First Report of Reproductive Mode in Microcaecilia (Amphibia: Gymnophiona: Siphonopidae). PLoS ONE 8(3): e57756. doi:10.1371/journal.pone.0057756