環境保護論者たちは、過去10年間で、マルミミゾウはその象牙質の牙のために空前の虐殺にあっていると本日(2014年2月12日)ロンドンで発表した。密猟者によりマルミミゾウは年間に全個体数の9%という衝撃的な割合で殺され、全世界の65%のマルミミゾウが過去12年間に虐殺された。 同じアフリカゾウ属のアフリカゾウより知名度が低いが、2010年の遺伝学のある研究で、マルミミゾウは事実アフリカゾウとはアジアゾウとマンモスのようにかけ離れた種であることが明らかになった。マルミミゾウの危機は、この発見により、より一層緊急の対応を要するものになった。
「一日に少なくとも60頭、もしくは昼夜問わず20分ごとに一頭ずつの割合で、2002年から2013年の間に少なくとも20~30万頭のマルミミゾウが殺された。あなたが朝食を食べるころまでに、象牙市場で売られる装飾品を作るために新たにゾウが殺されているのだ」と、研究を率いている野生生物保護学会(WCS) の研究者のフィオナ・マイセルズは言う。
分析により、 昨年の歴史的論文 に2012年から2013年の新しい情報が付け加えられた。それは、保護活動の強化にも関わらず、密猟は以前と変わらず継続されているという結果だった。
象牙をねらう密猟集団によって牙を奪われ死んだマルミミゾウ 写真: Andrea Turkalo/WCS.
マルミミゾウは主に中央、西アフリカで発見され、その名前の通り(マルミミゾウはシンリンゾウとも呼ばれる)、コンゴの熱帯雨林に生息している。これは、その偉大な森林に姿を隠しているため、個体数の監視を困難にしていることを意味するだけでなく、密猟者の密猟と逃走を容易にしていることを示唆する。そして多くの周辺国は、貧困や政局の不安定や腐敗に悩まされており、マルミミゾウの保護を非常に難しくしている。
例えば、マルミミゾウはコンゴ民主共和国(DRC)を最大の拠点としていたが、容赦のない密猟でこの国は多くのマルミミゾウを失った。
「最近のゾウの個体数と分布は、あるべき姿と比べると肝を潰すようなものである。DRCの森林の95%にはもうほとんどゾウは生息していない」とこの研究の共著者であるWCSのサマンサ・ストリンドベリは言う。
今日では、ガボンに最も多くのマルミミゾウが生息しており、地球上に生息する総数の60%を占めている。
ガボンのマルミミゾウ 写真: Rhett A. Butler.
マルミミゾウがアフリカゾウとは異なる種であると2010年に発表された論文で明らかにされたが、IUCN (国際自然保護連合)は未だその事実を認識していない。連合は、マルミミゾウとアフリカゾウを一括してリストに危急種として載せており、このリストは六年近く更新されていない。
各国政府はこの状況に対応を取り始めつつある。ちょうど昨日(2014年2月11日)、オバマ政権が、象牙の制限強化や抜け穴の閉塞を含む世界規模の野生生物に関わる犯罪に取り組む野心的な新政策を発表した。マルミミゾウにとっては数年遅すぎた対応ではあるが、最近ではフランスを含む多くの国々が象牙の在庫を破壊し始めた。
「マルミミゾウの個体数の引き続く減少を示したこれらの新しい数字が、まさに2014年2月11日 からロンドンで行われたUnited for Wildlifeのシンポジウムに切迫感があった理由である。ロンドンで話し合った解決策と我々が作成した公約は実効されなくてはならない。さもなければ、マルミミゾウは私たちの生きている間に絶滅するだろう」とWCSの上席動物管理官で、エグゼクティブ・バイスプレジデントのジョン・ロビンソンは言う。
地図は、昨年の中央アフリカでのマルミゾウの糞の調査。それぞれの色は1kmあたりに発見された糞の量。DRCに対するガボンの個体数に注目。地図はマイセルズらの提供。
引用文献:
- Maisels F, Strindberg S, Blake S, Wittemyer G, Hart J, et al. (2013) Devastating Decline of Forest Elephants in Central Africa. PLoS ONE 8(3): e59469. doi:10.1371/journal.pone.0059469