骨や毛皮の需要により、トラは絶滅の危機にある。写真:Rhett A. Butler.
絶滅危惧種の野生動物を狙った狩猟を減らすための新たな対策として、まず 南アフリカ航空 が、ついで エミレーツ航空 が、ハンティング・トロフィーの空輸を全面禁止した。
絶滅危惧種の野生動物の違法な狩猟と密輸を撲滅するには、革新的な戦略と社会の各方面の協力が不可欠だ。絶滅の危機にある動物の製品売買をやめるだけでなく、さまざまな才能と想像力を活用しなければ、ゾウ、サイ、トラ、オウム、サメなど象徴的な種を救うことはできない。
その闘いの最前線に、複数の団体による共同イニシアティブが発足した。 野生動物犯罪テック・チャレンジ は、野生動物取引による被害を防ぐのに役立つ科学技術イノベーションへの投資を呼びかけ、活性化させるためのものだ。この取り組みは、米国国際開発庁(USAID)、ナショナル・ジオグラフィック協会、スミソニアン研究所、TRAFFICが支援している。
野生動物犯罪テック・チャレンジは、米国の野生動物違法取引撲滅に関する国家戦略の中心的要素であり、野生動物違法取引とそれに付随する組織犯罪の撲滅に向けた、オバマ大統領の 大統領命令 に端を発している。また、この取り組みは米国の 民主・共和両党が支持 している。
ジャワサイの痕跡を記録するレンジャー。インドネシア・ウジュンクロン国立公園にて。
密猟者としばしばつながっている 国際的犯罪ネットワーク は、不十分な法令や取締、抜け穴だらけの国境、役人の腐敗を利用している。その暴力と象徴的動物種の殺戮は、現地の生物群集と人間社会に破壊的影響をもたらしている。直接的被害だけでなく、多くの途上国で重要な収入源となっているローカル・エコツーリズムへの脅威も深刻だ。違法な殺戮は動物の部位の高い需要を満たすためのもので、その市場はしばしば動物の生息する国から遠く離れた場所にある。
野生動物犯罪テック・チャレンジは、野生動物取引における以下の4つの課題にフォーカスしている。1) 密輸ルートを解明し遮断する、2) 法医学的ツールと証拠を強化し犯罪を確実に立証する、3) 違法な野生動物製品への消費者需要を低下させる、4) 違法取引のサプライチェーン上の汚職を撲滅する。
野生動物犯罪テック・チャレンジ(WCTC)は、アースデイの4月22日に発表され、6月30日まで 提案を募集中 だ。提案者は、野生動物取引の前述の課題のうち1つ以上に対処する、クリエイティブで前途有望な科学技術面のアイディアやデザインを、簡潔な構想案にまとめる。WCTCチームは、世界中の個人や非政府機関(国公立大学を含む)からの提案を待っている。WCTC事務局のスコット・ハジョスト局長は、とくに中南米の個人と組織からの提案が増えることを期待している、とmongabay.comに語った。
今年の秋、審査員が最終候補者を選出し、最終候補者は賞に応募する正式な提案書を提出する。それをもとに、WCTCは4つの課題それぞれについて、もっとも革新的で有望な科学技術的提案を選出し、提案者には1万ドルの賞金が贈られる。優勝者たちにはさらに、2016年に選出される、最高賞金50万ドルの大賞に応募する権利が与えられ、提案のスケールアップに必要なネットワーキングや資金調達の機会および技術支援もWCTCから提供される。
野生動物取引の4つの課題の解決に貢献するテクノロジー・デザインの案があるなら、www.wildlifecrimetech.org にアクセスして応募しよう。緊急性の高い世界的問題にあなたのアイディアを活かすチャンスだ。応募期間は6月30日まで。.