- 違法漁業は最大で230億ドルの価値となる2,600万トンの魚を毎年捕らえており、既に限界に達している世界の漁業資源を危機にさらしている。
- 正式には「違法、無報告、無規制漁業の防止、抑制、廃絶のための寄港国措置協定」と知られる協定が、6月5日、日曜日に発効した。
- これは、船舶が違法な漁獲を水揚げすることを防ぐことで世界の水産物供給を支えるための国際的な努力を象徴している。
違法漁業の防止を目指す国連の 協定 が、6月5日の日曜日に29の国と欧州連合を締約国として発効した。
違法、無報告、無規制(IUU: Illegal, Unreported, Unregulated)の漁業は、最大で230億ドルの価値となる 2,600万トン の魚を毎年捕らえ、既に限界に達している世界の漁業資源を危機にさらしている。
米国国務長官のジョン・ケリーは、協定に関する プレスリリース で「違法漁業は毎年我々の海洋から何十億ドルもの価値の資源を盗んでおり、ルールに従っている人々に損害を与えている」と、述べた。
正式には「違法、無報告、無規制漁業の防止、抑制、廃絶のための寄港国措置協定」と題されたその協定は、船舶が違法な漁獲を水揚げすることを防ぐことで世界の水産物供給を支えるための国際的な努力を象徴している。意義深いことにことに、この協定は船籍のある国に取り締まりを頼るのでなく、港を提供する国々にIUU漁船を阻止させるものだ。

各協定締約国は彼らの港に入港した漁船がIUU漁業を行っていないかを書類や、必要に応じて漁具及び積み荷によって検査する。もし当局が、魚が違法に漁獲されたもの認めた場合は、他の停泊地を見つけるように強制し、その船は積荷を降ろすこと、燃料や補給品の補充、またはその他のサービスを受けることができない。そして、港の管理国は違法に操業している船舶の情報を、船籍国を含む関係各国に共有する。
港から港へ移動することはIUU漁船に貴重な時間と資金を無駄にさせるだろう。これらの船が停泊できる港を少なくすることで、各国は違法な水産物の流通量を制限し、究極的にはIUU漁業の意欲を完全に削ぐことを望んでいる。
協定締約国は協定の施策を導入するために法律を通過させなければならないが、FAOの ウェブページによると「各国がさらに厳しい施策を採択することは自由」だ。協定は、2009年の国連の食料農業機関(FAO)の会議によって採択されたが、一定数の締約国が批准した後発効すると定められ、5月にそのマイルストンに達した。
合意は「非常に大きな前進だ」と、ストックホルムレジリエンスセンター(Stockholm Resilience Centre)の副科学ディレクターのHenrik Österblom はMongabayに述べた。過去に国や地域レベルで違法漁業を削減する取り組みが実施されたことについて彼は触れた。この協定はそれらとは異なるものだ。「この合意の非常に素晴らしい点は、地球規模の問題を解決するためのコミットメントを示したことだ」と、Österblomは語った。
ブリティッシュコロンビア大学の漁業経済研究ユニットのRashid Sumailaは、合意は完ぺきではないと懸念する。協定の施策は強力である一方、数十ヵ国がそれらを採択した場合のみ大きな影響を及ぼすことができると、彼はMongabayに述べた。「現在は30ヵ国だけが批准しており、抜け穴がある ― (違法に漁獲された)魚を受け取る国が存在する」と、Sumailaは語った。
米国のような世界の魚介類市場で大きなシェアを占める国々は協定に批准したが、中国やロシアのようなグローバルなプレイヤー抜きでは、取り組みは部分的なものにとどまるだろうと、Sumailaは語った。FAOのプレスリリース によると、30いる現在の締約国は合計で世界の魚介類輸入の62%以上、輸出の49%を占める。
港で船舶をチェックする比較的リソースの乏しい方法は、違法漁業者を取り締まるために最適な方法ではないと、Österblomは語った。「最も有効な方法は海上でモニタリングすることだが、それは非常にコストがかかる」と、彼は語った。
理想を言えば、衛星技術が、違法なことをしないように当局が 船舶を追跡 できる力をもたらすだろう。港での厳重な取り締まりや、水産業界や非営利組織のような非政府主体によるモニタリングと合わせることで、こうした技術は違法漁業を本当に根絶しうると、Österblomは付け加えた。
一方でこの協定は出発点として機能するだろうと、Sumailaは語った。これは、「世界に向けた道徳的な声明」としての役割を務め、活動家や市民社会に違法漁業に対する将来のよりドラスティックな施策を推進するプラットフォームを与えるだろう。
Sumailaは、「この協定には何かがある」と語った。「これは小さな前進だ。しかし我々がさらに推進しなければ、より良い成果は生まないだろう」