- 発見された霊長類は中国南西部とミャンマー北部をまたがるガオリゴン山 (高黎貢山脈) の山林で見つかった。
- その種は、テナガザルの中でもフクロテナガザルの次に大きな個体群を持つフーロックテナガザル (はっきりした顔の模様が特徴のシロマユテナガザルとしても知られる) の新種である。
- 人類猿は林冠の高いところに生息することを好み、「中国の歴史を見守る聖なる存在」とも言われていることから、研究者らは「スカイウォーカー・フ―ロックテナガザル (学名Hoolock tianxing)」 と名付けた。
東南アジアで発見された新種のテナガザルにはフォースの力がついている。
発見された霊長類は中国南西部とミャンマー北部をまたがるガオリゴン山 (高黎貢山脈) の山林で見つかった。その種は、テナガザルの中でもフクロテナガザルの次に大きな個体群を持つフーロックテナガザル (はっきりした顔の模様が特徴のシロマユテナガザルとしても知られる) の新種である。
今回の発見は、中国・広州にある中山大学のFan Pengfei氏が率いる研究チームとロンドン動物学会 (以下ZSL) の科学者たちによるものであった。類人猿は林冠の高いところに生息することを好み、「中国の歴史を見守る聖なる存在」とも言われていることから、研究チームは「スカイウォーカー・フーロックテナガザル (学名Hoolock tianxing) 」(以下スカイウォーカー) と名付けた。
研究者たちはスカイウォーカーに関する論文を学術誌「米国霊長類学ジャーナル」に発表した。
フーロックテナガザル属はすでに2種が存在し、物理的にミャンマーのチンドウィン川で西と東に分離したニシフーロックテナガザル (学名H. hoolock) とヒガシフーロックテナガザル (学名H. leuconedys) である。
しかし、Fan Pengfei氏と研究チームはエーヤワディ川とNマイ・カー川の東で発見されたフーロック個体群 (これまではヒガシフーロックテナガザルの近縁として分類されていた) が第3の種ではないかと信じていた。野生テナガザルと博物館の標本の遺伝子に関する特徴を研究し、さらに毛色パターンと歯の形態を評価した結果、研究者らはスカイウォーカーがニシ・ヒガシどちらのフーロックテナガザルとも形態学的にも遺伝学的にも異なることを立証することができた。
新たに発見されたこの小型類人猿はすでに不確かな将来に直面している。「新種のテナガザルはIUCNレッドリストの絶滅危惧IB類に分類されるべきだと考えている」と研究者たちは論文で述べている。「多くの人類猿が中国南部と東南アジアで絶滅の危機にさらされているため、今回の発見は小型人類猿の保全を見直す必要があるということに焦点を当てている。」
「研究チームは今回の発見に感動していた一方で、直ちにスカイウォーカーを「絶滅危惧種」のカテゴリーに入れるようIUCNに願い出なければならないことに悲しみも込み上げている。多くの小型人類猿が中国南部と東南アジアにおいて生息地損失や狩猟から生き残りをかけて戦っているように、スカイウォーカーもまた切迫した危機に直面している」と、ZSLのSamuel Turvey博士は声明で付け加えた。
Turvey博士は「手遅れになる前にこの素晴らしい新種を知り尽くすための時間を確保するには、ガオリゴン山の優れた生態系に対する意識を高め、保全を改善することが必要不可欠」と述べた。
引用元
- Fan, P., He, K., Chen, X., Ortiz, A., Zhang, B., Zhao, C., … & Groves, C. (2017). Description of a new species of Hoolock gibbon (Primates: Hylobatidae) based on integrative taxonomy. American Journal of Primatology. doi:10.1002/ajp.22631