- 新たに記載された種はすべて「ナイトフロッグ」の通称で知られるNyctibatrachus属に分類された。
- これらのカエルは非常に小さいうえ、林床の落葉層や湿地植生のなかでひっそりと生きていて、鳴き声は昆虫のようであるため、研究者でも見つけるのは難しい。
- ただし、生息地では普通種で個体数も多いようだと研究者は言う。
- 普通種とはいえ、7種はいずれも生息地の喪失に脅かされている。
インドの研究チームが、高い生物多様性を誇る西ガーツ山脈で7種の新種のカエルを発見した。
いずれの種も「ナイトフロッグ」の通称で知られるNyctibatrachus属に分類された。
発見されたカエルのうち4種は体長12~16mmしかなく、爪に乗るほど小さい。これらの極小の種は、世界最小級のカエルであると、研究チームは学術誌「PeerJ」に掲載された論文で報告している。
世界最小のカエルとされるPaedophryne amauensisは体長7.7mmで、パプアニューギニアに生息する。

ナイトフロッグを見つけるのは簡単なことではない。
これらのカエルは非常に小さいうえ、林床の落葉層や湿地植生のなかでひっそりと生きていて、鳴き声は昆虫のようであるため、研究者でも見つけるのは難しい。長いあいだ発見されずにいたものの、生息地では普通種で個体数も多いようだと、研究者は言う。
「これらのミニチュアなカエルは生息地で数の多い普通種ですが、あまりに小さく、人目につかず、昆虫のような鳴き声であるせいで見過ごされていたのでしょう」と、論文の筆頭著者でデリー大学の大学院生のソナリ・ガーグ_は言う。
普通種とはいえ、7種はいずれも生息地の喪失に脅かされている。どの種も発見場所であるたった1カ所の生息地しか知られておらず、その一部は保護区の外にある。そのうえ、発見場所のある西ガーツ山脈南部は現在、違法採掘や水力発電ダム、大規模インフラ開発に脅かされている。
[caption id="attachment_193512" align="alignnone" width="1196"]メリーランド大学のデータを可視化した「グローバルフォレストウォッチ」によれば、新種のカエルが発見された西ガーツ山脈南部では2000~2014年のあいだに森林被覆の約1.5%が失われた。この地域は未知の固有両生類の宝庫だ。NGO「Alliance for Zero Extionction」によれば、発見されたうち4種の分布域が危機にさらされている。
たとえば、新種のうちの2種、ラドクリフナイトフロッグ(Nyctibatrachus radcliffei)とカダラーナイトフロッグ(N. webilla)は民営および州営のプランテーションの中に生息している。アティラピリーナイトフロッグ(N. athirappillyensis)はケララ州のアティラピリー滝の近くで発見されたが、この滝は保護林の中にあるにもかかわらず、計画中の水力発電プロジェクトに脅かされている。さらに、サバリマーラナイトフロッグ(N. sabarimalai)の発見場所の近くには巡礼地があり、毎年1億人近くの巡礼者が訪れる。
「西ガーツ山脈のカエルの32%、およそ3種に1種が絶滅の危機にあります。7種の新種のうち、5種は人間活動による脅威にさらされていて、早急に保全措置をとる必要があります」と、今回の研究の責任者であるS. D. ビジュ教授は声明で述べる。ビジュ教授は、これまでにインドの両生類80種以上を記載している。

2006年から2015年のあいだに、研究者が記載した両生類の新種は1581種にのぼる。このうち、159種が西ガーツ=スリランカ地域で発見された。この地域は両生類の世界屈指の生物多様性ホットスポットだ。
これまでナイトフロッグ(Nyctibatrachus属)には28種が知られており、その半分以上が過去5年以内に発見された。今回の7種の発見で、Nyctibatrachus属のカエルは35種に増えた。

文献:
- Garg S, Suyesh R, Sukesan S, Biju S. (2017) Seven new species of Night Frogs (Anura, Nyctibatrachidae) from the Western Ghats Biodiversity Hotspot of India, with remarkably high diversity of diminutive forms. PeerJ 5:e3007 https://doi.org/10.7717/peerj.3007