- このプロジェクトはジョンズ・ホプキンス大学のDavid H. Smith保全研究フェローであるDiogo Veríssimoの発案によるものだ。Veríssimoは人の行動と生物多様性保全の関わりについて、特に保全マーケティングについて研究している。
- 「自然について話すことは絶滅、減少、そして喪失に関するものが多すぎた」と、Veríssimoは言った。「Lost&Foundで、我々はそれらを希望、決断、そして情熱に変えることを目指している」
- Mongabayは、彼にとって何が再発見された種への興味のきっかけだったのか、なぜ絶滅種を追跡するフィールドの研究者に光を当てることが重要なのか、そして彼がこれらのストーリーを伝えることで、究極的に何を達成することを望んでいるかについてDiogo Veríssimoと話した。
二十世紀の大部分に渡って、ウーリームササビ(Eupetaurus cinereus) は絶滅したと信じられていた。
もしそれが本当だったら、世界は実に素晴らしい種を失ったことだろう。リスの仲間で最も大きいウーリームササビは立ち上がると2フィートになり、ふさふさした2フィートのしっぽを見せびらかす。その大きさにもかかわらず、彼らは標高の高い針葉樹林の中の生息地を効果的に動き回るため、滑空用の被膜を使うことがとても上手い。彼らは急峻な岩の多い斜面にある洞窟や、その他の近づきにくい場所に住むことが知られている。この種の鳴き声はいくつかの地元の文化では愛する人の死の前兆と信じられていたり、彼らの尿が媚薬になると考えられている。
もし彼らが実際に絶滅していたとしたら、私たちはウーリームササビに関して現在知っていることの大部分を発見することができなかっただろう。しかし、この種は1995年にパキスタン北部で再発見され、 科学者や野生動物愛好家をわくわくさせた。
絶滅が非常に大げさに報告された動物は、もちろんウーリームササビだけではない。種はいつも再発見される — そしてLost & Foundという新たなプロジェクトは、そうした種のストーリーを伝えることを目的にしている。
このプロジェクトはジョンズ・ホプキンス大学のDavid H. Smith保全研究フェローであるDiogo Veríssimo の発案によるものだ。Veríssimoは人の行動と生物多様性保全の関わりについて、特に保全マーケティングについて研究している。彼は、私たちが保全について語る方法を変えることを試みるためにLost&Foundプロジェクトをスタートさせた。
「自然について話すことは絶滅、減少、そして喪失に関するものが多すぎました」と、Veríssimoは言った。「Lost&Foundで、我々はそれらを希望、決断、そして情熱に変えることを目指しています」
文章に加えて、Veríssimoとチームはコミックスや動画でも地球の再発見された種のストーリーを伝えることを計画している。Lost&FoundプロジェクトはワシントンD.C.でスミソニアン協会により4/21にEarth Optimism Summitで正式に開始された。
Mongabayは、彼にとって何が再発見された種への興味のきっかけだったのか、なぜ絶滅種を追跡するフィールドの研究者に光を当てることが重要なのか、そして彼がこれらのストーリーを伝えることで、究極的に何を達成することを望んでいるかについてDiogo Veríssimoと話した。
Mongabay: 何がこのプロジェクトの最初のきっかけだったのですか?誰がこのプロジェクトを思いついて、いつあなたは正式に取り組み始めたのでしょうか?
Diogo Veríssimo: このプロジェクトのアイディアは、種の再発見への強い興味と保全マーケティングの研究の結果として、私が思いついたものです。私は子供のころ、いまだにオーストラリアの奥地に生息していると信じられているフクロオオカミ(Thylacinus cynocephalus)のような種に関する本を読んだり、これらの種を再発見することができたらどんなに素晴らしいだろうか、と考えたりした強い思い出があります。これらの喪失の物語や神秘が、私の中にLost&Foundプロジェクトのストーリーを通じて伝えたいという強い感情を呼び起こしたのです。最後に、私の保全マーケティングへの専門的興味が意味することは、私が生物多様性保全を促進するための効果的なメッセージを作り出す仕事をしているということです。私たちが保全家としてメッセージを発する際、私がいつも驚かされた点はそれらの大半がネガティブなものだということです。私たちが取り組んでいることに対して人々が無関心にならないよう、今こそ私たちは、よりインスピレーションを与えるようなメッセージングにする時なのです。
正式なキックオフの日付に関して言えば、私はこのプロジェクトの背後にあるコンセプトを、2014年の7月に英国生態学会(British Ecological Society)から最初の資金を受け取る数年前に思いつきました。私が思うに、その時がこのプロジェクトが正式にスタートした時です。それ以来多くのことが起こり、進捗はとても遅いものでした。理由の一部は、このプロジェクトに対する我々のコミットメントがボランティアによるものであったためですが、我々はこの取り組みをサポートしてくれる更なる資金源を見つけることにも苦労していました。
Mongabay: 誰がこの取り組みに資金援助したのですか?そして誰がこのクリエイティブなマテリアルを創っているのでしょうか?
Diogo Veríssimo: この取り組みは(これまでのところ)保全生物学会(Society for Conservation Biology)と英国生態学会(British Ecological Society)により資金援助されています。アウトリーチ活動に対する資金援助の機会を見つけることは大抵困難なため、私はこれら二つの専門学会にとても感謝しています。そうは言っても、我々は現在、我々のストーリーを動画にするため、そして我々のコンテンツを複数言語に翻訳するための資金を探しています。なので、もしあなたが助けてくださるのであれば、是非ご連絡ください!
マテリアルに関しては正にチームの努力によるもので、私はこのように才能に溢れた人々をこのアイディアの周りに集めることができた点でラッキーでした。英国にはイラストレーターでコミック・アーティストのAmy Gallagherがいます。各ストーリーを描くコミックスの責任者です。オーストラリアには独創的な作家であるSam Needsがおり、我々のストーリーのほとんどを書いています。ポルトガルに我々のウェブデザインチームがあり、Zé MartinsとJoão Dábrioが我々のウェブサイトの責任者です。最後に、米国でLaure Cugnièreが種を選ぶ際の背後にある研究をリードし、私がプロジェクト全体のリードをしています。
Mongabay: 基礎調査にどれだけ時間がかかりますか?どのようにしてあなたが特集した「絶滅し再発見された」種を見つけたのでしょうか?
Diogo Veríssimo: 我々は、最もエキサイティングなだけでなく、多様な範囲の種と大陸をカバーするストーリーを選択するため、オンラインの情報源、書籍、そして可能であれば再発見にかかわった人々への直接のインタビューを組み合わせています。このプロジェクトの調査は、これらの多くのストーリーが文書化されておらず、さらに大衆紙と科学論文で矛盾した記述が存在するため、最も時間のかかるステージです。このことは我々をいつも以上にハードに働かせ、明確に何が起こったか概要を把握できるストーリーだけに注目させました。
Mongabay: あなたはこれらの種を再発見した研究者たちに野生動物たち同様に注目しますか?言い換えると、あなたはフィールドで世界の野生動物たちを記録するために働いている科学者たちのストーリーを伝えようとしているのでしょうか?それとも、再発見された動物たちのストーリーを伝えているだけなのでしょうか?
Diogo Veríssimo: 我々は、種同様に人間側にも注目するよう意識的に努力しました。例えば我々のタグラインが「冒険」であって種でないのはそのためです。我々は、すでに自然と生物多様性に興味を持っている人々よりも広範なオーディエンスに到達するためには、これこそがカギになると気づきました。全ての人々がパプアニューギニアで発見されたコウモリについて関心を持つわけではなく、それは悪いことではありません。私は、私がどれだけ生物多様性を愛しているかに関わらず、他の人々にとってはより魅力的なトピックスがあるのだ、ということを理解しています。さらに、私たちのセレブリティ文化が証拠ですが、あらゆる人々が興味のあることは他の人々に関することです。これらのストーリーの主人公たちは、その他の多くの人気のある物語(ドラマやテレビシリーズ、映画など)の主人公たちのように、勇気、決断、そして情熱を体現しています。私は人に注目することは、自然に関するコンテンツには興味がなくても、単純に良いストーリーには興味があるかもしれないオーディエンスにとって、我々のコンテンツをよりエキサイティングにするだろうと信じています。
Mongabay: なぜあなたはこれらの「喪失と再発見」された種と、彼らを見つけた研究者たちのストーリーに光を当てることが重要だと考えるのですか?
Diogo Veríssimo: これら人のキャラクターに注目したときの我々のゴールは、世界中に根付いているOcean OptimismやEarth Optimism活動のような努力から生まれると期待する、より希望に満ちた保全活動の担い手として彼らを示すことでした。より人に注目したことで、私は保全活動家が世界中で行っている大変な努力を示し、この仕事がどれほど困難なものであるかの意識を高めることを望んでいます。また、私たちが大きな困難に直面していても、減少、脅威、絶滅だけが全てではないんだ、と思い出したいときに戻ってくることができる希望のレポジトリを私の同僚たちに提供することを望んでいます。
Mongabay: このプロジェクトの最も興味深いことの一つは、これらのストーリーを伝えるために複数のメディアを使っていることです。このことがどのように機能するのか少しだけ教えていただけますか?それぞれのストーリーを物語、コミックス、動画のフォーマットにして、好きなメディアで楽しめるようにしているのか、それとも全てのストーリーを知るには3つのメディアすべてを使用する必要があるのですか(つまり、3つのフォーマットは組み合わせて使われているのでしょうか)?
Diogo Veríssimo: どのようにコンテンツにアクセスするかという点では、複数メディアの活用は異なるターゲット層に選択肢を提供するためにデザインされた戦略です。人々に選択肢を提供することで、我々は異なる体験を提供するだけでなく、できればコンテンツを広範囲なオーディエンスに対して興味深いものにしたいと思っています。さらに、人々はますますインターネットをモバイルデバイスで、そして様々なコンテクストで利用しています。異なるコンテンツ形式を持つことで、我々はストーリーを、異なる帯域、時間、画面サイズ、または集中力が続く時間など、様々な状況に合わせて簡単にアクセスできるようにしています。
Mongabay: あなたは究極的にはLost&Foundプロジェクトで何を達成したいと考えていますか?
Diogo Veríssimo: 我々は保全に関わる会話を変えたいと望んでいます。自然保全は「悲運と憂鬱」であってはいけません。これは希望、気概、そして大胆さに変えることができます。この物語をより前向きにすることによってのみ、社会のより広範なセクターに参画してもらい、環境をより広い社会的な優先事項にすることを、私たちは望むことができるのです。もしLost&Foundプロジェクトがその役割を少しでも担えるなら、私は我々が目的を達成したと考えるでしょう。
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