- 動議7番が10月13日バンクーバーでのFSC総会で可決された。それは、1994年以降に森林をプランテーションに転換した林業者が認定を受けることができるようFSC基準を変更しようとしているということである。
- 現行の基準では、1994年以降森林を伐採してきた業者は一切FSC認証の取得不可となっている。
- 基準変更の支持者は、変更することでFSC基準を守る会社が増え、近年の森林伐採の補償としての「何百万ヘクタール」もの保全、回復につながるであろうという。
認証機関である森林管理協議会(FSC)は1994年以降森林伐採をしてきた材木会社に認証を申請する許可を与えるための一歩を踏み出した。
23年前に設立以来、FSCは、森林を伐採する業者に認証を与えることを拒否してきた。木材プランテーションに転向させるためである。このことは10月13日にブリティッシュコロンビア州のバンクーバーで行われた 総会での動議7番の可決では変更にはならないが、民間企業や個人、そしてNGO保護団体から成る組織のメンバーにより承認を受けたことで、FSC認証の要件が変わる可能性があるということを示唆している。支持者はこの対策により途上国の認証へのアクセスが増加するという。だが、認証自体の実際の有効性に疑問を抱いている者もおり、基準日を変更すると森林破壊増加につながる可能性があると言う。
WWFインドネシアのアディチャ・バユナンダ氏は、「この1994年の基準が障害になりつつあるのはFSCにとってますます明らかになってきていると思う。FSCは皆にオープンでなくてはならない。」と述べた。
バユナンダ氏が本動議を提案し、規制変更の話し合いが続けられた。
氏の見方によると、基準変更により、FSCが設立された頃にちょうど経済がうまく回り始めた発展途上国からの業者も参加できるようになるという。
「これは意図したことではなかった」バユナンダ氏はインタビューに答えて言った。「ちょうどそうなったんだ」。
これらの業者に認証を受けさせるには、バイオダイバーシティ保全や人権保護に関するFSC基準を遵守することが必要となる、とバユナンダ氏は述べた。そして認証を受けることが可能となるからと言って、容易になるわけではない、と警告した。
現時点では、動議は1994年以降に森林伐採した会社が認証を得るためにFSCが何を必須要件とするかについては特に言及していないが、バユナンダ氏によると、伐採した土地と同じ面積分の土地を「元の状態に戻すか、または保存する」必要があるだろうと言う。さらに、土地変換が引き起こした「社会的損害」を地域社会に補償する必要があるだろう。この二つが「根本的変化をもたらす要因」となる、とバユナンダ氏は述べた。
「今や業者は再生と保全のリーダーにならなくてはならないのだ」バユナンダ氏は付け加えた。
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のビル・バークレイは、どんな変更を加えるにしても、「1994年のルールがFSC総会の全議会一致で変更・承認されるようなことがあれば、補償基準、指標、手法に関して非常に高い基準を設けることが必要である」と述べた。そして、「森林伐採が環境だけでなく地域社会に対してもいかに害を与えるか、についての包括評価をしなくてはならない」とバークレイは付け加えた。RANはFSCのメンバーである。
「このような厳しい要件を持つ新しいルールは何百ヘクタールという森林の再生・保全と、地域社会への社会的補償を結果としてもたらす可能性がある。」グラント・ロソマンがメールで述べた。グラント・ロソマンはグリーンピースのグローバル・フォレスト・ソリューションの顧問である。グリーンピースもまた、FSCのメンバーである。
しかし、その他熱帯雨林保護関係者は、基準日を現在に移動すると、林業者やプランテーション企業の欲望に屈することになってしまうと見ている。
サイモン・カウンセルはレインフォレスト・ファウンデーションUKの取締役であるが、本動議可決のことを「FSCのはっきりした大きな転換点」と呼んだ。この動議可決が「持続可能に管理された森林ではなく、破壊されてきている森林由来の木材製品のFSC認証」の許可を検討することになるからである。
「FSCの信用性に対しての最後のとどめの一撃になるだろう」 カウンセルはメールで追加した。
ウェブサイトレッド・モニターのクリス・ラングは、森林転換に直接影響を受ける人々にとってのルール変更の意味について懸念を述べた。
「パルプ紙材業者の利点ははっきりしている。しかし、自分たちの土地に単一植林が広がらないよう戦っている先住民や地域社会にとって本決議が助けとなるのかどうか想像することは大変困難である」、とラングは述べた。
しかし、グリーンピースのロソマンは、動議7番を支持しているのはプランテーション業者ではなく、ほとんどが「その他の株主」であるという。1994年ルール変更に反対している業者もいるが、それは1994年ルールが「取引保護対策」として役立つためであり、競争相手が認証を受けるのを妨げるためなのである。
しかし、ラングはFSCの目標は認証を受けた材木業者のパーセンテージをあげることにあり、業者の持続可能性にあるのではないようだという。
「動議7番により、FSCは間違いなく更に破壊的な木材プランテーション業者を認証できるようになるだろう。それによって認証された工業木材のパーセンテージが増える。しかし、動議7番がパルプ紙材セクターに意味ある変化をもたらすチャンスは殆どない。」
「このことからFSC認証についてある重大な疑問が浮き彫りになってくる。FSC認証を受けた事業が実際にサスティナブルであるかどうか、という疑問である。」ワイルド ファウンデーションの副会長シリル・コルモスがメールで述べた。「認証を受けている伐採事業でさえもサスティナブルではないという非常に強力な証拠がある、そして真にサスティナブルにするには莫大な助成金が必要となるだろう。」
FSC認証は明らかに従来の伐採よりも良い – そのことには殆ど疑問の余地がない」コルモスが言った。「だからと言ってそれで十分だと言うわけではない、まして真にサスティナブルだなんてとんでもない。」
インドネシアの工業材木プランテーションのバナー画像
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